腕神経叢ニューロパチー(神経痛性筋萎縮症,neuralgic amyotrophy)

a.病態と神経ブロックの適応

原因は多彩であり,外傷,腫瘍,胸郭出口症候群, ウイルス感染,アレルギー性血管炎,遺伝性,あるいは原因不明のものなどが報告されている.呼称も様々で,統一されていない.典型的なものは上肢の疼痛で発症し,続いて急速な筋の脱力と萎縮がみられる.予後は比較的良好で,90%以上が回復するが,少なくとも2年以上の観察が必要である.

治療は非ステロイド性抗炎症薬とステロイドを投与し,疼痛の軽減後早期に可動域訓練を行なう.

疼痛が強い場合は神経ブロックの適応である.

b.神経ブロック治療指針

①星状神経節ブロック:急性期(1~2ヵ月間)は3~4回/週の頻度で行ない,その後は1~2回/週程度とする.

②頸部・上胸部硬膜外ブロック:疼痛が強い場合は入院が望ましく,1ヵ月間程度を目安に持続注入法を行なう.鎮痛不十分な場合は,局麻薬の間欠注入,また慎重にモルヒネ(4~5mg/日)やブプレノルフィン(0.2~0.3mg/日)を併用注入する.

③腕神経叢ブロック:頸部硬膜外ブロックで鎮痛が不十分な場合に1回注入法で,入院では持続注入法で行なう.10日~14日に1回の頻度で3回ほどステロイドを添加する.

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※「ペインクリニック治療指針」から抜粋