慢性膵炎

a.病態と神経ブロックの適応

慢性・進行性の膵の炎症であり,その成因にはアルコール性,胆道性,特発性などがあげられている.上腹部や背部の疼痛で始まり,血中膵酵素の上昇を伴い,経過とともに糖尿病や消化不全の症状が明らかになってくる.膵の線維化が進み,非代償期になると腹痛は軽減する.数年から数十年と長い経過をとるので,長期的な観察と治療が必要である.蛋白分解酵素阻害薬をはじめH2ブロッカー,非ステロイド性抗炎症薬を用いる.神経ブロックは鎮痛薬の必要量を減少させるが,繰り返し行なう必要がある.

b.神経ブロック治療指針

①胸部硬膜外ブロック:疼痛が強い場合は入院治療が望ましく,1~2ヵ月間を目安に持続注入法を行なう.鎮痛が不十分な場合は,局麻薬の間欠注入,また慎重にモルヒネ(4~5mg/日)やブプレノルフィン(0.2~0.3mg/日)などを添加して持続注入する.

②内臓神経アルコールブロック:胸部硬膜外ブロックで軽快しない場合は,内臓神経アルコールブロックを考慮する.

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※「ペインクリニック治療指針」から抜粋