上喉頭神経痛

a.病態と神経ブロックの適応

非常にまれな疾患で,40~50歳代の女性にみられる.上喉頭神経は,迷走神経の下神経節から起こり,舌骨の高さで運動性の外枝と感覚性の内枝に分かれ,内枝は甲状舌骨膜を貫いて喉頭腔に入り,喉頭粘膜の感覚を司る.本症はその内枝に起因する神経痛で,器質的病変は見当たらない.甲状舌骨膜や梨状窩にトリガーポイントがみられ,嚥下運動や会話によって片側の喉頭部から顎下部,耳下部,頸部に発作性の疼痛が誘発される.多くはこのような疼痛発作を数日間繰り返し,まったく疼痛のない休止期に入る.

カルバマゼピンが有効であり,また舌咽神経痛との鑑別のために上喉頭神経ブロックが有用である.

上喉頭神経切除や開頭下の微小血管減圧術が適応となることもある.

b.神経ブロック治療指針

①上喉頭神経ブロック:痛みに応じて局麻薬でのブロックを繰り返しているうちに休止期に入ることが多い.

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※「ペインクリニック治療指針」から抜粋