網膜中心動脈閉塞症

a.病態と神経ブロックの適応

網膜外層は脈絡膜から,網膜内層は網膜中心動脈からそれぞれ血液供給を受けている.本症は網膜中心動脈の本幹あるいは分枝血管の閉塞によって視力障害が突然生じる疾患で,原因としては動脈硬化に起因する血栓によることが多いが,心臓弁膜症や心房細動による塞栓,動脈れん縮の場合もある.

網膜は100分間の血流途絶で不可逆的変化を引き起こすため,本症は緊急性が高く,検査と並行しながら治療が必要である.眼球マッサージ,眼圧降下療法,血管拡張療法,線溶酵素療法,抗凝固療法,高圧酸素療法,星状神経節ブロックなどをただちに施行する.星状神経節ブロックの有効機序としては,網膜・脈絡膜の血流改善,動脈れん縮の解消,眼圧低下作用などが考えられている.

b.神経ブロック治療指針

①星状神経節ブロック:入院のうえ,1~2回/日の頻度で,7日から10日間行なう.高圧酸素療法との併用がより有効である.なお線溶酵素療法,抗凝固療法を併用する時は,星状神経節ブロックによって血腫形成の危険性があるので注意を要する.

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※「ペインクリニック治療指針」から抜粋