肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)

a.病態と神経ブロックの適応

中年以降に退行性変性を基盤として起こる肩関節の疼痛と運動制限である.病期は3期に分けられ,2~9ヵ月間持続する疼痛性筋性痙縮期,4~12ヵ月間持続する筋性拘縮期,6~9ヵ月間持続する回復期となり,自然寛解することもある.非ステロイド性抗炎症薬と温熱療法を併用し,疼痛性筋性痙縮期では振り子運動や手を下げた前かがみ運動を,筋性拘縮期ではCodmann体操やConolly体操などの可動域訓練を連日行なう.神経ブロックはこれらの理学・運動療法に併用して行なう.

b.神経ブロック治療指針

①肩甲上神経ブロック:急性期(1~2ヵ月間)は2~3回/週の頻度で行ない,その後は1回/週程度で維持する.

②星状神経節ブロック:上肢の異常発汗や冷感など交感神経緊張が強い場合は,2~3回/週の頻度で併用する.

C.注射療法

①肩関節内注射:局麻薬にステロイドや高分子ヒアルロン酸ナトリウムを添加して,1回/週の頻度で4~5回行なう.

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※「ペインクリニック治療指針」から抜粋