顎関節症

a.病態と神経ブロックの適応

顎関節症は顎関節とその周辺筋の異常であり,疼痛,関節雑音および顎の運動障害を主症状とする.

原因として,外傷による下顎頭の変位や不正咬合,関節リウマチによる変形,咀嚼筋群の異常緊張など顎関節の器質的・機能的異常があり,これにストレスなど精神的要因が加わる.

顎関節の神経支配は下顎神経から出る耳介側頭神経および咬筋神経の枝であり,疼痛は咀嚼,会話などで誘発され,耳介周辺から咬筋部を中心として側頭部,側頸部さらに体幹から四肢にまで訴える場合もある.関節雑音は開口終末期にクリック音として自・他覚されることが多い.

顎関節症では歯科・口腔外科的治療が必要である.咬筋の過剰使用を禁止し,マッサージ,局所冷却,光線療法とともに非ステロイド性抗炎症薬,中枢性筋弛緩薬,抗不安薬,抗うつ薬などを用いる.

それらの治療によっても愁訴が残るものには神経ブロックを行なう.

b.神経ブロック治療指針

①トリガーポイント注射:咬筋の圧痛点に,1~2回/週の頻度で行なう.

C.注射療法

①顎関節内注射:局麻薬に少量のステロイドを添加して,顎関節内に1~2回注入する.

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※「ペインクリニック治療指針」から抜粋