Tolosa-Hunt症候群

a.病態と神経ブロックの適応

海綿静脈洞の非特異的炎症によって,内頸動脈周囲交感神経叢などが刺激され,片側の眼窩周囲に発作性,反復性の疼痛と眼球運動障害を呈する症候群で,国際頭痛分類での診断基準は下記のとおりである.

(a)単発もしくは反復性の片側性の眼窩部痛で,未治療では平均8週間持続する.

(b)疼痛の発症と同時もしくは疼痛出現後14日以内に第Ⅲ,Ⅳ,Ⅴ,Ⅵ脳神経のうち一つ以上の麻痺を伴う.

(C)副腎皮質ステロイド治療開始後,72時間以内に疼痛軽減が得られる.

(d)画像診断(必須ではないが)や頸動脈造影で,原因となるその他の病変が除外される.

治療はプレドニゾロン30~60mg/日で開始し,2~3週間で漸減中止する.神経ブロックは疼痛が強い場合,ステロイド投与が禁忌となる場合に試みる.

b.神経ブロック治療指針

①後頭神経ブロック:1~2回/週の頻度で行なう.

②星状神経節ブロック:2~3回/週の頻度で10回ほど行ない,効果がみられれば1~2回/週で継続する.

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※「ペインクリニック治療指針」から抜粋