胸郭出口症候群
a.病態と神経ブロックの適応
病態は胸郭出口における神経・血管束の圧迫あるいは牽引で,大多数は腕神経叢の刺激過敏状態を呈する.その原因としては,先天的要因(頸助,第1肋骨異常,軟部組織の異常),外傷性要因(鞭打ち損傷後などで軟部組織の癒着,瘢痕化),非外傷性要因(腫瘍,炎症)などがある.20~30歳代の女性に多く,腕神経叢刺激症状(上肢の疼痛,しびれ,だるさ,冷感),項頸部・肩甲帯のこりと
疼痛,さらに頭痛,めまい,全身倦怠感などがみられる.
神経ブロック療法は,病態に応じて組み合わせて行なう.
b.神経ブロック治療指針
①星状神経節ブロック:急性期(1~2ヵ月間)は3~4回/週の頻度で行ない,その後は1~2回/週程度とする.
②頸部・上胸部硬膜外ブロック:疼痛が強い場合は入院が望ましく,1ヵ月間程度を目安に持続注
入法で行なう.鎮痛が不十分な場合は,局麻薬の間欠注入,また慎重にモルヒネ(4~5mg/日)やブプレノルフィン(0.2~0.3mg/日)を添加して持続注入する.
③腕神経叢ブロック:頸部硬膜外ブロックで鎮痛が不十分な場合に,1回注入法で行ない,10~14日に1回の頻度で3回はどステロイドを添加する.
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※「ペインクリニック治療指針」から抜粋