幻肢痛
a.病態と神経ブロックの適応
a.病態と神経ブロックの適応
切断で失った部位に感じる難治性の痛みで,切断した直後あるいは数ヵ月から数年を経て出現する.
痛みの性状はさまざまで,灼熱痛,電撃痛,けいれん性のこともある.
抗うつ薬,抗てんかん薬,NMDA受容体括抗薬(ケタミンの少量静注),バルビツレート,時にオピオイド,カルシトニンなどを用いるが,決定的なものはない.幻肢痛の発症には交感神経活動が関与している可能性があり,交感神経ブロックが有効な場合もある.発症予防としては,切断術の周術期に十分な除痛が得られるように対処することが重要である.
b.神経ブロック治療指針
b.神経ブロック治療指針
①硬膜外ブロック:上肢であれば頸部・上胸部で,下肢の場合は腰部で硬膜外ブロックを行ない,十分な除痛をはかる.
②星状神経節ブロック:上肢の幻肢痛に対して,治療開始当初は3~4回/週の頻度で約1ヵ月間行ない,その後は維持療法として1回/週程度の頻度で行なう.
③交感神経節ブロック:上肢では星状神経節ブロック,下肢では腰部硬膜外ブロックの効果が一時的な場合は,神経破壊薬または高周波熱凝固法で当該交感神経節ブロックを考慮する.
C.手術療法
C.手術療法
①胸腔鏡下交感神経遮断術:星状神経節ブロックや胸部交感神経節ブロックの効果が一時的な場合に,より確実性と長期的効果を求めて考慮する.
②その他:脊髄,大脳皮質野,脳深部などへの刺激装置植込術あるいは脊髄後根進入部破壊術があるが,その効果は一定でない.
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※「ペインクリニック治療指針」から抜粋