側頭動脈炎

a.病態と神経ブロックの適応

50歳以上の女性にやや多く,巨細胞動脈炎あるいはHorton症候群ともいわれる.微熱,倦怠感,筋肉痛などの全身症状で始まり,その数ヵ月後から,夜間に増強する片側性あるいは両側性で強烈な持続的拍動性の頭痛がみられる.側頭動脈が索状に触れ,発赤腫脹,圧痛を認め,CRP陽性,血沈の克進(1時間値50mm以上),白血球増多などがみられる.確定診断は生検で巨細胞性血管炎の組織像を認めることである.約20%にリウマチ性多発筋痛症,10~20%に視力障害や外眼筋麻痺が合併し,後毛様体動脈の閉塞により失明することもある.

治療はプレドニゾロン60mg/日で開始し,1週間後から症状の増悪および血沈の克進を生じない最低量まで漸減して,平均1年間は継続する必要がある.神経ブロック療法はステロイドの減量に効果がある.

b.神経ブロック治療指針

①トリガーポイント注射:ステロイドを添加して,側頭動脈周囲の圧痛部位に1~2回/週の頻度で3~4回行なう.

②星状神経節ブロック:2~3回/週の頻度で10回ほど行ない,効果がみられれば1~2回/週で継続する.

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※「ペインクリニック治療指針」から抜粋