線維筋痛症

体を休め薬で治療しても,どんどん痛みが強くなり全身に広がるナゾの病気.病院で「原因不明.よくわからない.手が打てない」などと言われることもしばしば.でも...体もの痛みはだいじょうぶです.こじれた痛み,難治性疼痛の代表である線維筋痛症を理解し,一緒に療養して行きましょう.

●何で気がつくの?

痛み,しびれ,つかれ等がどんどんひどくなってゆく.仕事や家事などの負担を減らし,どんなに休んでも良くならない.シップや痛み止めが効かない.病院で治療してもかんばしくない.痛みがこじれてゆく感じがしたら線維筋痛症を疑います.

過労や強いストレス,ケガや手術,大病などが原因となることもあります.しかし,歯科治療やカゼなど些細なキッカケや,まったく原因が思い当たらないこともあります.

病院を変えたり,三か月以上長引いたら線維筋痛症の診療開始です.

●放っておくと?

自然に治るはずの痛み,しびれ,つかれ等が,神経をむしばみ,どんどんひどくなるのがこの病気です.自然には治らないのですから,時間がたつほど重症になり,体の激痛に苦しみ,仕事や勉強,家事ができなくなります.誰も痛みをわかってくれず「なまけもの」といわれ,友人や家族ともうまくゆかなくなり,孤独にさいなまれます.うつ病がすすみ体力もおとろえ生活どころか身動きさえできないほど悪くなることもあります.

どんな検査?

●自分で診断できます

下のアンケートをご記入ください.線維筋痛症を予測できます.

●圧痛点・身体診察

医師が体を正確に押して痛いところ探します.くび,肩,膝など18か所のうち11か所以上の痛みがあると線維筋痛症です.

数が少ない場合でも,痛みがこじれていれば線維筋痛症を含む難治性疼痛と診断し,治療を始めます.

また神経や筋肉の所見など,全身をこまかく診てゆきます.

●血液や尿の検査

関節リウマチや膠原病を含むアレルギーの検査

筋炎を含む炎症検査

骨粗鬆症などの代謝検査

がんなどの除外.貧血,肝腎機能などの一般的な検査

●画像診断

レントゲン,超音波,MRIなどで他の病気の有無,老化と神経との関係を診ます.

●他の病気と副作用をチェック

検査は安心して診療できるようにするためのおまもりです.他の悪い病気がないか,副作用が出ていないかをチェックするのが第一の目的です.

どんな治療?

●一般的な生活改善

運動中心の生活リズムと食事などのバランスが基本.健康的な生活があっての療養です.

疲れやストレス他の病気などで悪化します.まずはゆっくり休みましょう.長期休暇がとれないまでも仕事,勉強,家事などをほどほどに保ちます.

人の意見を聞き入れ,ご自身で療養する決意をします.

●お薬

お薬が絶対必要なわけではありません.むしろ眠くなるお薬など強いものを使わないほうが安全です.

下支えするため,メタボやアレルギー,便秘など基礎的な病気があれば,その治療を続けます.

自然治癒力を高めるため漢方薬などで体質を改善します.

NSAIDSやオピオイドなどの鎮痛薬を使う前に,抗うつ薬などの鎮痛補助薬を試みます.

徐々に鎮痛補助薬やオピオイド

●点滴・注射

痛みどめ

ビタミン

(骨粗鬆症など)ホルモン補充

●ブロック注射

神経痛を伴っている場合,当院では神経のそばにお薬を入れ,より着実に届かせるブロック注射をお勧めします.特にMRIで障害された神経が明確ですと,より効果的です.

注射のお薬は2~3時間しか効きません.しかし注射による改善効果は,それ以上長持ちします.注射はただ体を応援しているだけで,ご本人の自然治癒力で良くなってゆくからです.つまり対症療法ではなく根本治療を目指しているのです.

ペインクリニック

ブロック注射の動画

●他の治療

運動・生活実践指導

物理療法:レーザー治療 干渉低周波 温熱療法

論理療法

診療のながれ

●しらべる

診察・検査・画像などで基礎疾患の有無を確認.

●ととのえる

初めのうちは:療養生活をどのようにするか,一緒に考え行動してゆきます.

基礎疾患に対する薬物治療を進める一方,痛みのブロック注射や点滴,物理療法などの計画をすすめます.

週二回以上の受診から徐々に減らしてゆきます.

2~4週ごと:血液や尿の検査

1~2週ごと:症状や生活の様子から,生活改善の仕方やお薬を調整します.

●おちついたら

痛み しびれ つかれ等がこじれる体質なので,症状がなくとも月に1回以上は通院し続けてください.無症状でも痛みの種は知らぬ間にドンドン増えてゆきます.

2~4週ごと:生活改善の確認と基礎疾患のお薬,ブロック注射.

2~4か月ごと:血液や尿の検査.

他には?

痛みは本来からだを守る警告です.その仕組みを理解し,痛みがこじれた生活の物語を見つめます.

学思罔殆.

ご本人が痛み しびれ つかれ等を乗り越えられるよう,当院でシッカリ下支えいたします.

ほどほど,コツコツでだいじょうぶ

すでに無理が出来ないと体が訴えている状態なので,かかりつけ医をきちんと作り診療を継続するようにしましょう.

日々の生活をととのえ,コツコツと診療を続けていけばだいじょうぶです.