筋炎

筋肉は細い糸のような線維(繊維)がたばになったものです.神経の命令でその一本いっぽんが縮み,関節を曲げ体を動かします.その線維が炎症を起こし,壊れた状態が筋炎です.筋肉がこわばり,力が出ないだけでなく,漏れ出た老廃物でいろいろな症状が出ます.

どんな症状?

無症状が一番怖い

運動をたくさんする人は,多少筋肉痛(筋痛)があったとしてもあまり気にしません.しかし,筋肉が壊れやすい体質だと,漏れ出た老廃物で血管や腎臓など他の内臓を傷つけることがあります.

●何で気がつくの?

筋肉の緊張,こり,痛み,内出血を伴う肉離れ,脱力,けいれんなど筋肉のトラブルを検査して気がつきます.

●放っておくと?

筋肉が炎症を起こしやすくなり,筋炎を繰り返します.

筋肉のこりや痛みが慢性化し,だるく疲れやすくなり,生活しづらくなります.

「たかがこりごときで」と甘く見ていると,どんなに休んでも疲れがとれず,心が傷つき,うつ病やパニック障害などに陥ります.

体が動かず,心の元気もなくなり,生活がままならなくなります.

どんな検査?

症状の部位を細かく診察し,どの程度ひどいか見極めます.

●血液や尿の検査

CK(クレアチニン・キナーゼ)などの筋障害マーカー

他にGOT,LDH,mGLB(ミオグロビン)

貧血・肝・腎機能などの一般的なチェック

●画像検査

院内画像検査

エコー検査

院外画像検査

MRI

●他の検査

神経・筋生理検査:筋電位・神経伝導速度

筋生検

●他の病気と副作用をチェック

検査は安心して診療できるようにするためのおまもりです.他の悪い病気がないか,副作用が出ていないかをチェックするのが第一の目的です.

どんな治療?

●一般的な生活改善

安静.運動中心の生活リズムと食事などのバランス.

●お薬

初期:鎮痛薬と湿布,筋弛緩薬

全体通して:ビタミンB群のお薬

●注射

ビタミンB群の点滴

●他の治療

初期:クーリング,安静

十分安静後リハビリ:加温,軽いストレッチ,徐々に筋トレ

診療のながれ

●しらべる

尿や血液検査と画像検査で筋炎を確定します.

●ととのえる

初めのうちは:連日点滴,安静後リハビリ

強い炎症が取れたら:

2~4週ごと:血液や尿の検査などから,

1~2週ごと:症状や生活の様子から,生活改善の仕方やお薬を調整します.

●おちついたら

2~4週ごと:生活改善の確認とお薬.

2~4か月ごと:血液や尿の検査.

半年~毎年:院内画像検査/1~2年ごと:院外画像検査など.

他には?

膠原病やメタボなど別の病気がない時,3か月以内に筋炎は治ります.

3か月以上筋炎が長引く時,裏に何かが隠れていないか調べます.

ほどほど,コツコツでだいじょうぶ

日々の生活をととのえ,コツコツと診療を続けていけばだいじょうぶです.