脊椎麻酔後頭痛(脊麻後頭痛)

a.病態と神経ブロックの適応

脊髄麻酔(脊麻)後7日以内に発現する頭痛であり,その特徴は体位によって変化することで,すなわち立位や座位で頭痛がみられ,臥位になると軽快・消失する.穿刺針が太いほど頭痛の発生頻度が高いことから,脳脊髄液の漏出により髄液圧が低下し,立位や座位において脳が下方に牽引されることが原因とされている(髄液圧とは無関係とする報告もある).また髄液圧の低下が脳血流の増加を招き,この代償性の脳血管拡張が頭痛の原因という考え方で,脳血管収縮作用のあるカフェインやスマトリブタンが有効との報告もある.

治療は臥位で安静を保つことと水分補給が基本であり,多くは1~14日で完治する.軽減傾向がみられない場合は,硬膜外腔内への生理食塩液(生食)注入法や自家血パッチ法を考慮する.

b.注射療法

①硬膜外生食注入法:脊麻時の穿刺部位近くの硬膜外腔内に,生食を20~40ml注入し,できるだけ長く(4時間程度)安静臥床を保持する.

②硬膜外自家血パッチ法:感染の危険性があるので,他の治療法が無効であった場合に限って行なう.脊麻時の穿刺部位近くの硬膜外腔内に,無菌的に採取した自家血5-15mlを注入し,できるだけ長く(4時間程度)安静臥床を保持する.

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※「ペインクリニック治療指針」から抜粋