筋・筋膜性疼痛症候群

a.病態と神経ブロックの適応

骨格筋・筋膜の持続的緊張・収縮によって局所循環不全をきたすと,同部に発痛物質(ヒスタミン,キニン,プロスタグランジンなど)が蓄積して疼痛が生じる.この痛み刺激が脊髄に入ると反射性に運動神経や交感神経を興奮させるので,最初の筋収縮や血管収縮,局所循環不全がさらに悪化することになる・このような経路は「痛みの悪循環路」と呼ばれ,筋・筋膜疼痛症候群の病態と考えられている.

筋・筋膜内にトリガーポイントがあり,圧迫すると皮膚分節とは一致しない遠隔部位に放散痛を生じる.椎間板障害や椎間関節症などから二次的に起こる場合もあり,基礎疾患の検討が重要である.

治療は非ステロイド性抗炎症薬(内服,外用),中枢性筋弛緩薬を用い,ストレッチング,マッサージ,温熱療法,冷却法,TENSなどの理学療法を行なう.神経ブロックでは,トリガーポイント注射が基本となる.

b.神経ブロック治療指針

①トリガーポイント注射:2~3回/週の頻度で行ない,症状によって増減する.1~2ヵ月間を目安とする.

②星状神経節ブロック:頸・肩・上肢の症状が強いときはトリガーポイント注射とともに,1~2回/週の頻度で行なう.

③硬膜外ブロック:胸背部,腰背部の痛みがトリガーポイント注射で改善しないときは,椎間板性疼痛などの関与を考えて,1~2回/週の頻度で当該部位での硬膜外ブロックを行なう.

--

※「ペインクリニック治療指針」から抜粋