前頭側頭型認知症
脳が小さくなる認知症のうち,頭の前と横の部分が特に小さくなるものを,前頭側頭型認知症といいます.
どんな症状?
急に人格,人柄が変になるのが特徴です.歳をとると,人は誰でも頑固で考えが固くなります.その変化が数か月,時に数日で起こることがあります.他の認知症よりも進行が急なので,家族の戸惑いは大きいです.
他の中核症状と周辺症状は認知症の項目をご覧ください.
無症状が一番怖い
人格の変化が現れるまでは,ほとんどの場合は無症状です.
●何で気がつくの?
優しかった人が急に怒り出したり,きちんとした人がだらしなくなったり,正義感あふれる人が法を犯すなどで気がつきます.
●放っておくと?
認知症は脳の老化でもあるので,自然に治ることはありません.良識がなくなり,犯罪を起こすこともあります.さらに進めば,自力で生活ができなくなり,寝たきりとなって亡くなります.
どんな検査?
急激な人格変化とMRIで診断します.
●血液や尿の検査
メタボなど認知症を悪化させる病気の検査
認知症に似た病気の検査
貧血・肝・腎機能などの一般的なチェック
●画像検査
院内画像検査
エコー検査,レントゲン
院外画像検査
MRI(脳の大きさや血管の詰まり具合,脳梗塞の度合いなど認知症の原因となる部位の特定)
CT(脳血管をMRIより細かく見ます)
脳シンチ・PET(脳の血の巡りや働きを診ます)
●他の検査
認知症の度合いを見るための質問が多数あります.例えば長谷川式認知症スケール(HDS),時計テストなど.
●他の病気と副作用をチェック
検査は安心して診療できるようにするためのおまもりです.他の悪い病気がないか,副作用が出ていないかをチェックするのが第一の目的です.
どんな治療?
●一般的な生活改善
メタボなどの背景となる病気をしっかり治療します.手術などの必要がない限り,入院などを避け環境を一定に保ちます.いつもと同じ生活をしながら,じっくり療養することが大切です.
運動中心の生活リズムと食事などのバランス.
●お薬
適切な安定薬
●他の治療
徐々に進む症状をなるべく遅らせるよう家庭や外来でリハビリを続けます.
体や頭を使う作業(例えば少し複雑な体操やパズル,漢字や算数ドリル)
診療のながれ
●しらべる
病歴と診察,MRIなどで認知症を確定します.
●ととのえる
2~4週ごと:血液や尿の検査などから,
1~2週ごと:症状や生活の様子から,生活改善の仕方やお薬,リハビリ内容を調整します.
●おちついたら
2~4週ごと:生活改善の確認とお薬とリハビリ.
2~4か月ごと:血液や尿の検査.
半年~毎年:院内画像検査/1~2年ごと:院外画像検査
他には?
ご本人の症状が進むにつれ,少しずつ生活が大変になります.ご家族がご本人に費やせるのは一日に2時間程度です.それ以上では長続きしません.医療だけでなく,介護などを含め地域で支える体制を作ります.
ほどほど,コツコツでだいじょうぶ
日々の生活をととのえ,コツコツと診療を続けていけばだいじょうぶです.