脳梗塞
脳の血の巡りが悪くなり,細胞の元気がなくなったり,死んでしまう状態を脳梗塞と言います.
脳梗塞の原因は脳の血管が動脈硬化を起こし狭くなる脳動脈硬化症(脳血栓症を含む)と,心臓や血管でできた血栓などが飛んで脳の細い血管を塞ぐ脳塞栓症の2つが主です.
どんな症状?
脳梗塞は,症状がない無症候性と,運動や感覚などの症状がある症候性に分けられます.
症候性では手足がまひして動きが悪くなったり,ろれつが回らない,しびれや痛みなどの感覚の異常が見られます.吐き気やめまい,時に意識がなくなるなどのひどい症状が出るものを脳卒中といいます.
脳動脈硬化症は徐々に症状がひどくなり,脳塞栓症は脳卒中になりやすいです.
無症状が一番怖い
脳梗塞の症状がない無症候性の時でも,脳動脈硬化症は進みます.心臓に血栓ができやすい状態が続けばいつ脳塞栓症,ひいては脳卒中になるか分かりません.症状がないうちから,動脈硬化や血栓を防ぐ必要があります.
●何で気がつくの?
メタボなど他の疾患で受診したり,脳ドックでMRIを取った時に無症候性のうちに気がつくことが多いです.
この時期を逃すと,朝口をゆすいで水がこぼれたり,片方の手足や顔がまひするなどで気づくことがあります.時には脳卒中発作のめまいで立てず,吐いたり,意識がなくなったりして救急車で運ばれることもあります.
●放っておくと?
無症候性のうちに見つけ対処すれば,脳梗塞がひどくなることはまれです,脳動脈硬化症が進み,小さな脳塞栓症が増えたりすると,体がうまく動かなかったり,心が乱れたりして生活がうまくいかなくなり,気持ちが滅入ってうつになります.手足や言葉に重い障害を残したりもします.さらに放っておくと脳卒中で亡くなることがあります.
どんな検査?
無症候性のうちにMRIで見つけるのが肝です.
メタボがあって,手足のしびれやまひなどを細かく見ればおおよそ診断が付きます.
●血液や尿の検査
メタボや膠原病など血管不全を起こすものの検査
貧血・肝・腎機能などの一般的なチェック
●画像検査
院内画像検査
エコー検査・レントゲン
院外画像検査
CT・MRI(特にFLAIRで慢性虚血性変化,Diffusionで急性から亜急性の脳梗塞,MRA (MR血管造影)で脳動脈硬化症)
●他の検査
心電図(不整脈)
発作を繰り返すときは,入院してカテーテル検査
●他の病気と副作用をチェック
検査は安心して診療できるようにするためのおまもりです.他の悪い病気がないか,副作用が出ていないかをチェックするのが第一の目的です.
どんな治療?
脳卒中はいち早く入院・加療が必要です.
軽い症候性や無症候性のものは次のようになります.
●一般的な生活改善
メタボや膠原病など基礎疾患の治療が必要です.
運動中心の生活リズムと食事などのバランス.
●お薬
抗血栓薬(心房細動などの心臓から血栓が飛び脳塞栓症が起こる可能性がある時は,ワーファリンなどの抗凝固薬)
それ以外の動脈硬化(アスピリン,シロスタゾール,プロピトグレルなどの抗凝集薬)
●注射
脳卒中で血栓溶解療法
●他の治療
脳動脈硬化症がひどい時,手術(内頚動脈内膜剥離術,脳動脈内ステント留置術)
診療のながれ
●しらべる
脳卒中は速やかに入院します.
他の脳梗塞は診察とMRIで確定します.
●ととのえる
脳卒中以外の脳梗塞は
2~4週ごと:血液や尿の検査などから,
1~2週ごと:症状や生活の様子から,生活改善の仕方やお薬を調整します.
●おちついたら
2~4週ごと:生活改善の確認とお薬.
2~4か月ごと:血液や尿の検査.
半年~毎年:院内画像検査・心電図/1~2年ごと:院外画像検査
他には?
脳卒中は脳梗塞だけでなく,脳内出血やくも膜下出血なども含みます.
ほどほど,コツコツでだいじょうぶ
日々の生活をととのえ,コツコツと診療を続けていけばだいじょうぶです.