帯状疱疹後神経痛
水ぼうそうが再発した帯状疱疹.それが治っても痛みが残ったものが帯状疱疹後神経痛です.帯状疱疹の10人に1人が軽く発症します.1000人に1人~2人は生活もままならないほどひどく痛みます.非常に治りにくい神経痛(神経障害性疼痛)です.
どんな症状?
帯状疱疹のブツブツが治ったあとを中心に,激しい痛みが続きます.
無症状が一番怖い
帯状疱疹のブツブツと初めの頃の痛みは,一見順調に治るかのように見えます.症状があるのに家事やお仕事を再開すると,帯状疱疹後神経痛になる可能性が高まります.
●何で気がつくの?
帯状疱疹のブツブツが治っても痛みが残り,時にどんどん痛みが激しくなり気がつきます.
●放っておくと?
嫌な痛みが連続してうずいたり,電気が走るような激痛が断続的に起こります.ものが触れただけで,帯状疱疹のあとを中心に痛みが走ります.そこからだんだん体中へ痛みが広がり,時に車いすから寝たきりになることもあります.
あきらめて治療せずに放っておくと,10年単位で長引きます.しっかり治療をしても,生活が普通にできるようになるのに1年前後かかります.長引くのでうつ病になることもあります.
どんな検査?
症状の経過で診断は容易です.
●血液や尿の検査
水痘・帯状疱疹ウィルス抗体価
貧血・肝・腎機能などの一般的なチェック
●画像検査
院外画像検査
MRI(神経痛を起こしている神経の通り道を確認します)
●他の検査
痛みのある部位のアロディニア(触れただけで痛い)
●他の病気と副作用をチェック
検査は安心して診療できるようにするためのおまもりです.他の悪い病気がないか,副作用が出ていないかをチェックするのが第一の目的です.
どんな治療?
●一般的な生活改善
刺激を与えないこと.その場所に触れるなど痛みがでるようなことを避けましょう.
運動中心の生活リズムと食事などのバランス.
●お薬
メタボなど基礎疾患の治療
骨粗鬆症治療薬など神経の通り道の補強
鎮痛補助薬(抗うつ薬・抗けいれん薬など)
オピオイド
●注射
ビタミンB群
ノイロトロピン
痛みのブロック注射
●他の治療
強力な生活改善指導
他の医療機関との連携
診療のながれ
●しらべる
症状の経過により帯状疱疹後神経痛と確定します.
●ととのえる
2~4週ごと:血液や尿の検査などから,
1~2週ごと:症状や生活の様子から,生活改善の仕方やお薬を調整します.
●おちついたら
2~4週ごと:生活改善の確認とお薬.
2~4か月ごと:血液や尿の検査.
1~2年ごと:院外画像検査
ほどほど,コツコツでだいじょうぶ
日々の生活をととのえ,コツコツと診療を続けていけばだいじょうぶです.