胃炎
体の真ん中の胃は,いろいろなことに影響を受ける臓器です.食べ過ぎ,かぜ,ストレス,便秘,飲酒やたばこ,刺激のある食べ物などを食べ,胃の調子が悪くなった状態を胃炎といいます.
どんな症状?
急性:胃痛,食欲不振,吐き気,嘔吐などの症状が出てきます.
慢性:急性胃炎の症状が繰り返される状態になります.
無症状が一番怖い
慢性胃炎では胃の粘膜が傷ついても,症状が強く出ません.気がつく頃には,機能がとても悪くなっていることがあります.
●何で気がつくの?
急性:胃痛や吐き気,胸やけ,嘔吐など比較的強い症状で気がつきます.のどかぜと一緒におこることもあります.悪いものを食べたり,食べ過ぎたりで症状が出ることもあるので,比較的気がつきやすいです.
慢性:何となく胃の調子が悪いなど,気がつきにくい症状です.他の病気で受診した時に医師から言われることも多いです.
●放っておくと?
急性胃炎は慢性胃炎になります.
慢性胃炎は,胃潰瘍経て胃穿孔,胃がんになることもあります.ストレスを放っておくと,症状が少なくても長引くことで気持ちが萎えてしまったり,やる気がなくなってしまったり,生活自体がままならなくなってしまいます.
どんな検査?
症状の経過でおおよその診断がつきます.
●血液や尿の検査
急性:白血球やCRPの炎症反応
慢性:他に病気がないかを調べます.
急性がこじれた時・慢性:必要があれば,便検査をします.
貧血・肝・腎機能などの一般的なチェック
●画像検査
院内画像検査
レントゲン・エコー検査
院外画像検査
CT・MRI
●他の検査
胃生検,ピロリの検査
●他の病気と副作用をチェック
検査は安心して診療できるようにするためのおまもりです.他の悪い病気がないか,副作用が出ていないかをチェックするのが第一の目的です.
どんな治療?
●一般的な生活改善
急性:絶食から復食.スポーツドリンク・カロリーメイト・おかゆの順で.
慢性:ストレス対策
運動中心の生活リズムと食事などのバランス.
●お薬
急性:制酸薬,胃粘膜保護薬,鎮けい薬,制吐薬、抗生薬
慢性:胃ぜん動促進薬,漢方薬,向精神薬
●注射
急性:ミネラル・水分・ブドウ糖など栄養の点滴,鎮けい薬,制吐薬
慢性:ストレスや自律神経失調症が原因の時は,そのもとになっている神経のブロック注射
●他の治療
慢性胃炎は非常に治りにくく,急性胃炎がこじれないようにすることが肝心です.
診療のながれ
●しらべる・ととのえる
急性:診察して軽ければ,お薬の調整をします.重ければ,血液や尿・便の検査,点滴などの治療をします.
通常一回の処方でよくなります.そうでないときは他の病気が絡んでいる,またはすでに慢性胃炎になっている場合があります.重症な時は院内画像検査をします.
慢性:ストレスの原因などを生活の中から洗い流して,どうしていくかを一緒に考えていきます.また,がんなど他の病気を除外していくことが大切です.
●おちついたら
慢性胃炎は
2~4週ごと:生活改善の確認とお薬.
2~4か月ごと:血液や尿の検査.
半年~毎年:院内画像検査/1~2年ごと:院外画像検査
ほどほど,コツコツでだいじょうぶ
日々の生活をととのえ,コツコツと診療を続けていけばだいじょうぶです.