慢性動脈閉塞症

動脈が固く細くなり,ついには詰まってしまいます.血の巡りが悪く,指先や肌などが壊死するのが慢性動脈閉塞症です.閉塞性動脈硬化症(ASO)と閉塞性血栓血管炎(TAO)があります.

どんな症状?

血の巡りが悪くなって起こる症状が主な症状です.

無症状が一番怖い

動脈は固くなっても何とか血液を通そうとするので,最初は全く症状がありません.

半分以上詰まってしまい,血の巡りが悪くなって初めて症状が出てきます.一度固くなった血管は完全に元に戻ることはなく,予防すると共になるべく早く見つけることが重要です.

●何で気がつくの?

糖尿病などのメタボ,また受診で早く見つけられます.健康診断で動脈年齢を計り,偶然見つかることもあります.

多くは病状がだいぶ進んでから,ちょっとぶつけて青むくれになったり,傷が治りにくい,冷え性,こりや疲れが取れないなどの血の巡りの悪さで気がつきます.

●放っておくと?

体の端っこ,指先や肌などに酸素や栄養が送られずまたばい菌に対する抵抗力が落ち,傷の治りが悪くなり,最後は壊死(腐ること)してしまいます.同じことが内臓でも起こり,人工透析や失明,脳卒中や心筋梗塞に至ります.

どんな検査?

うちみが治らないどころか,放っておくと肌に穴が開くなど,どんどんひどくなる経過を診察することでおおよそ診断がつきます.

また,メタボがあるとなおさら慢性動脈閉塞症を疑います.

●血液や尿の検査

メタボの検査に準じます.特に糖尿病,高尿酸血症,高脂血症は厳密にチェックします.

貧血・肝・腎機能などの一般的なチェック

●画像検査

院内画像検査

エコー検査(特に頸部エコーで頸動脈の壁の厚さやデコボコから動脈硬化の度合いをはかります)・レントゲン

院外画像検査

CT・MRI(特に心臓から手足,頭にいく血管を見ます)

●他の検査

爪圧迫テスト(爪を押して数秒以上色が戻らないと血の巡りが悪い)

四肢血圧(通常は手より足の血圧が高いのが普通です.逆に足の血圧が低くなると,血管が詰まっている可能性があります)

●他の病気と副作用をチェック

検査は安心して診療できるようにするためのおまもりです.他の悪い病気がないか,副作用が出ていないかをチェックするのが第一の目的です.

どんな治療?

●一般的な生活改善

基礎疾患のメタボなどをまず治療します.運動中心の生活リズムと食事などのバランス.

●お薬

基礎疾患のお薬

血管拡張薬(プロスタグランディン製剤)

血管を拡張し,動脈硬化を防ぐビタミン群(ビタミンE,B3,Fなど)

●注射

血管拡張薬(プロスタグランディン製剤)

血管を拡張する意味でブロック注射

●他の治療

体を温め,血の巡りをよくする温熱療法など

診療のながれ

●しらべる

診察,四肢血圧,画像検査で慢性動脈閉塞性を確定します.

血液や尿の検査などで,原因となるメタボを探ります.

●ととのえる

2~4週ごと:血液や尿の検査などから,

週に1回以上:お薬やお注射を調整します.症状や生活の様子から,生活改善の仕方やお薬を調整します.

●おちついたら

2~4週ごと:生活改善の確認とお薬.

2~4か月ごと:血液や尿の検査.

半年~毎年:院内画像検査/1~2年ごと:院外画像検査

他には?

高尿酸血症は素早く血管の内側を壊します.高脂血症は血管の壁の中にコレステロールを溜め込みます.糖尿病は血管全体をぐにゃぐにゃでもろい状態にします.高血圧症はもろくなった血管をやぶります.メタボは全て血管を壊し,血の巡りを悪く,ひいては人の活力を奪います.メタボの治療が第一になります.

ほどほど,コツコツでだいじょうぶ

日々の生活をととのえ,コツコツと診療を続けていけばだいじょうぶです.