副甲状腺機能亢進症

骨を溶かし,血中のカルシウムを高めるのが副甲状腺ホルモンです.通常はミネラルのバランスをとる役目があります.これが異常に高くなった状態が副甲状腺機能亢進症です.

どんな症状?

高カルシウム血症と骨粗鬆症の症状が主です.

無症状が一番怖い

最初は何も症状がなく,知らぬ間に骨粗鬆症が進みます.

●何で気がつくの?

胸がどきどきする,顔が赤くなるなど更年期に似た症状が出ます.

●放っておくと?

カルシウムにより,不整脈,肝機能障害,腎結石,腎機能障害,骨粗鬆症による痛みや骨折を引き起こします.

どんな検査?

●血液や尿の検査

血中カルシウム濃度,%TRP(尿細管リン再吸収率),PTH(副甲状腺ホルモン)

貧血・肝・腎機能などの一般的なチェック

●画像検査

院内画像検査

頸部のエコー検査

院外画像検査

MRI(副甲状腺の大きさなどを確認します)

●他の検査

頸部で副甲状腺の異常がない場合,全身の画像検査をします.

●他の病気と副作用をチェック

検査は安心して診療できるようにするためのおまもりです.他の悪い病気がないか,副作用が出ていないかをチェックするのが第一の目的です.

どんな治療?

●一般的な生活改善

運動中心の生活リズムと食事などのバランス.

サプリでカルシウムを取ったり,余分に牛乳を飲んだりはしないように注意します.

骨折しているときは,安静にします.

●お薬

ビタミンD(無用なカルシウムの低下を防いで,副甲状腺ホルモンを抑える)

●注射

合成カルシトミン(甲状腺ホルモンのひとつ)

●他の治療

余分な副甲状腺の切除手術

診療のながれ

●しらべる

血液や尿の検査で診断します.

●ととのえる

2~4週ごと:血液や尿の検査などから,

1~2週ごと:症状や生活の様子から,生活改善の仕方やお薬を調整します.

●おちついたら

2~4週ごと:生活改善の確認とお薬.

2~4月ごと:血液や尿の検査.

半年~毎年:院内画像検査

1~2年ごと:院外画像検査

他には?

血中のカルシウム濃度が高くなると,副甲状腺ホルモンは通常減ります.副甲状腺機能亢進症はホルモンの出すぎや,ホルモンの働き具合が異常になります.手術をするしないに関わらず,カルシウムを一定に保つことが重要です.

ほどほど,コツコツでだいじょうぶ

日々の生活をととのえ,コツコツと診療を続けていけばだいじょうぶです.