リウマチ
自分の免疫が間違って関節を攻撃するのが,関節リウマチです.関節の中でも特に滑膜が傷つき,関節が壊れていきます.関節に対する自己免疫はすべての人にあります.その度合いは人それぞれで,子供の頃になくても大人になって出てくることがあります.また逆に子供の頃からひどいリウマチでも,大人になって自然に治ってしまうこともあります.あちこちの関節がしつこく痛むリウマチをみてみましょう.
どんな症状?
急性期は関節が赤くはれ,激しく痛み熱をおびます.この炎症反応がひとつの関節にとどまらず,あちこちに移ります.この状態を昔の人は痛みが流れる=リウマチと呼びました.
慢性期になると,関節の熱や赤みはひくものの,はれが残り,動きが悪くなり,また変形して固まります.痛みは弱くなっても,常に体がこわばり身動きがとれなくなります.
無症状が一番怖い
リウマチは誰もが持つ体質ですから,いつ出てくるか分かりません.過労や脱水,熱い寒い,関節の曲げ過ぎ伸ばし過ぎなどで出てきます.ひとたび出るとなかなか治らず,関節の変形など元に戻らなくなることが多いです.
●何で気がつくの?
朝のこわばりが出てきた段階では,ほとんどの人が「ちょっと疲れてるんだろう」とやり過ごしてしまいます.30分1時間とこわばりが長くなり,関節がはれて痛みだすと気がつきます.はれる関節は指先よりも指の付け根,手首足首,ひじ,肩,ひざ,股関節など大きな関節で強く出ます.
●放っておくと?
関節が固まり,動かなくなります.自己免疫が血管を傷つけ,心臓や腎臓が悪くなります.関節が固まることで,生活が出来なくなり,内臓が傷つき死に至ります.また,関節が脱臼しやすくなり,首の骨がはずれると,脊髄がつぶれショック死するか,生き延びても手足が麻痺してしまいます.
どんな検査?
朝のこわばりと,移動する大きな関節の炎症を問診や診察で確認して診断します.
●血液や尿の検査
リウマチマーカーを調べて診断をより確実にします.CCP(抗環状シトルリン化ペプチド抗体)で90%,CARF(抗ガラクトース欠損IgG抗体)で99パーセント,MMP3(マトリックスメタロプロテアーゼ-3)で99.9パーセントの確度です.
白血球やCRPで急性炎症反応
蛋白分画と赤沈で慢性炎症を調べます
貧血・肝・腎機能などの一般的なチェック
●画像検査
院内画像検査
関節のレントゲン,背骨表面のエコー検査
院外画像検査
CT・MRI
●他の病気と副作用をチェック
検査は安心して診療できるようにするためのおまもりです.他の悪い病気がないか,副作用が出ていないかをチェックするのが第一の目的です.
どんな治療?
●一般的な生活改善
急性期は安静,特にはれた関節を動かさないようにします.
はれが引きはじめる亜急性期から炎症が目立たなくなる慢性期には,適度な運動.また,固まりそうな関節のストレッチを積極的に行いましょう.
運動中心の生活リズムと食事などのバランス.
●お薬
急性期:NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬),アセトアミノフェン,ステロイドなどで積極的に炎症を取ります.
慢性期:抗リウマチ薬を急性期から継続して投与します.(アザルフィジン・ブシラミン・メトトレキサートなど)
●注射
急性期:サリチルサンやステロイドの点滴
亜急性期~慢性期:生物学的製剤,補助薬
神経痛を伴うときは痛みのブロック注射
●他の治療
リウマチが出るような生活習慣,床屋さんのはさみやゲームのコントローラーのような反復運動を避けるなどのバランス.
自己免疫を強くするような刺激物,酒・たばこ・カフエイン・暑い寒い・湿気を避けましょう.
台風の前など軽い気圧の変化は避けようがないので,その時だけお薬が増えることもあります.
診療のながれ
●しらべる
問診と診察でリウマチを確定します.
血液や尿の検査でリウマチの度合いを調べます.
●ととのえる
急性期:
安静にしてお薬お注射で炎症をとります.
抗リウマチ薬を開始し,段階的に生物学的製剤まで強くしていきます.
症状が強い時は,連日お薬(カロナール・ロキソプロフェンなど)やお注射(点滴)で痛みをとっていきます.
初回時に尿や血液の検査,レントゲンを行い,炎症反応や度合いを見ます.
診断が確定してから,抗リウマチ薬を始めていきます.
亜急性期:
2~4週ごと:血液や尿の検査などから,
1~2週ごと:症状や生活の様子から,生活改善の仕方やお薬を調整します.
亜急性期後半は,体を動かしていきましょう.
慢性期:
はれだけ残っている状態
2~4週ごと:生活改善の確認とお薬.
2~4か月ごと:血液や尿の検査.
半年~毎年:院内画像検査/1~2年ごと:院外画像検査
慢性期も,体を動かしていきましょう.
急性増悪期(急性期のような症状がまた出ること):急性期の治療(安静)をします.(再びレントゲン・お薬)
他には?
急性増悪期は梅雨時期や雨・台風が来る直前に多く見られます.
軽いものはお彼岸,または寒くなる初冬の頃に多いです.
基本的にステロイドは処方はしません.
ほどほど,コツコツでだいじょうぶ
日々の生活をととのえ,コツコツと診療を続けていけばだいじょうぶです.