腹痛
腹痛を起こす病気はたくさんあります.最も多いのは,おなかのかぜや食べ過ぎ,飲みすぎです.このような急性期の腹痛の多くは放っておいても良くなりますが,中には重症化するものもあります.症状は軽いものの,経過が長い慢性期の腹痛もあります.稀ですが,急性期慢性期を問わず,がんや穿孔,重症な感染症など命に係わるものもあります.
お腹の痛みと思っていると,実は肋間神経痛など背骨や神経からくる痛みもあります.
たかが腹痛と軽く見ず,しっかり治療しましょう.
どんな症状?
チクチクした痛みや,ズキズキした痛み,キューとつままれたような痛み,重だるい痛み,かったるいような痛み,冷や汗が出てくるような何とも言えない激痛など,痛みの種類は様々です.
●放っておくと?
重症だと胃や腸が壊死したり,穴があくなど死に至ることがあります.
痛みは軽くとも,症状が長引くとストレスがたまり,疲れやすく,やる気がなくなって生活がままならなくなります
食欲が減り,栄養のバランスが崩れるとメタボや骨粗鬆症など思わぬ病気を引き起こします.
どんな検査?
お腹が痛くなったきっかけや,その後の経過を詳しく調べます.
お腹を触った時の痛さや固さ,体温,真っ直ぐ歩けるか,片足でケンケンができるかなどで,お腹の炎症の度合いを見極めます.
●血液や尿や便の検査
白血球・CRPなどの炎症反応
便中の血液やばい菌など
貧血・肝・腎機能などの一般的なチェック
●画像検査
院内画像検査
レントゲン・エコー検査
院外画像検査
CT・MRI
●他の病気と副作用をチェック
検査は安心して診療できるようにするためのおまもりです.他の悪い病気がないか,副作用が出ていないかをチェックするのが第一の目的です.
どんな治療?
●一般的な生活改善
急性期は絶食と安静,徐々に復食をしていきます.
慢性期はその病気に合わせて,治療します.
運動中心の生活リズムと食事などのバランス.
●お薬
制酸薬
乳酸菌のお薬
制吐薬
陳痙薬
●注射
水や電解質,糖などの栄養の点滴
制吐薬
陳痙薬
●他の治療
その他病気に合わせて治療していくことになります.
診療のながれ
●しらべる
急性:至急で血液や尿・便の検査,院内画像検査をします.
お薬やお注射など治療をしながら,特別な治療が必要な場合は対処します.それ以外は経過観察をします.
慢性:急性期に加え,院外画像検査などで胃腸以外の病気も細かく見ていきます.
特にこじれた神経痛などを見逃さないようにします.
●ととのえる
急性:連日から週に1回の受診.
慢性:週に1.2回.検査でお薬や注射を調整します.
2~4週ごと:血液や尿の検査などから,
1~2週ごと:症状や生活の様子から,生活改善の仕方やお薬を調整します.
●おちついたら
2~4週ごと:生活改善の確認とお薬.
2~4か月ごと:血液や尿の検査.
半年~毎年:院内画像検査/1~2年ごと:院外画像検査
他には?
胸痛に比べ,腹痛は耐えられない鋭い痛みになることがあり,時に身動きが取れません.ケロッと治ることもあるため放っておかれることもありますが,症状がなくても治療することが大切です.
ほどほど,コツコツでだいじょうぶ
日々の生活をととのえ,コツコツと診療を続けていけばだいじょうぶです.